面接官が苦労すること

クールビズがすっかり定着して上着なしの会社員が目立つ。そんな中、リクルートスーツの学生をみると申し訳なく思ってしまう。猛暑からの避難がてらコーヒーショップに入ったら就活生が一杯。就活マニュアル本やスマホを見ながらなにやら調べている。中にはこれから面接にいくのだろうか、エントリーシートらしきペーパーを片手に持ち一人でつぶやいている学生もいる。

「入社する前は結構、評価高かったのに・・」ある人事担当者の言葉だ。言い方は違うが似たような嘆きを聞くことが多くなった。選考段階では高い評価を得ていた学生が入社後、力を発揮できなくて配属先の現場から厳しい評価を受けているケースがあるというのだ。

人事担当者としては自分達が採用した社員の評価が芳しくないということで様々な改善策を講じている。学生の内面や能力を的確に把握するために面接の内容を見直したり、面接官を研修して面接テクニックを磨いている企業もある。 しかし、この問題は採用する側だけの問題ではないように思う。私自身、学生と話す機会があるが、自分を的確に表現できない学生が多いように思う。また、面接慣れしてくると自分を作ってしまう学生が出てくる。確かに面接は学生と企業側の駆け引きのようなところがあり、学生としてはなるべく自分を良く見せたいと努力するのは当たり前だ。しかし、それが行き過ぎると学生にとっても企業にとっても不幸なことになりかねない。

面接という選考段階での評価と入社後の評価の乖離は、入社後のトラブルにつながりかねない問題を孕んでいる。学生からするとうまく面接をやり過ごして入社したものの自分に要求される仕事が合わないと感じることもあるはずだ。それが積もり積もって深刻な問題を引き起こすことがある。面接はいわばお見合いのようなもの。自分はどんな人間なのか。正確に相手に伝え、企業側もそれを正確に理解するという面接の本来の役割を新ためて考える必要があるのではなかろうか。確かに面接に訓練は有効だし、マニュアル本も役に立つ。しかし、そこにはまず、自分を正確に相手に伝えるようという気持ちが大切だ。


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