会社の実力を見極める。企業研究の難しさ

合同会社説明会である企業ブースに座る機会があった。地味な企業なのでなかなか学生が座ってくれず手持ち無沙汰なので、つい隣のブースに眼がいってしまう。隣は不動産業界の企業である。業界大手でそのブランドなら誰でも知っている企業だ。黒山の人だかりとなったブースで一生懸命、学生は聞き入っている。人口動態もからめて自社の事業戦略を説明するなどなかなか巧い演出だが、1点気になることがある。ある大事なことが語られていないのだ。その会社は2004年に産業再生機構の支援を受けている。乱暴な言い方をすれば一度、つぶれて再建されているわけだ。ブースで話を聞いている学生たちは、このあたりの情報をどこまで知っているのだろう。

長銀、日債銀、三和銀行、西武百貨店、そごう、ダイエー、西友、マイカル、熊谷組、佐藤工業。これらはマイコミ勤務時代に私が営業担当した企業で共通点がある。いずれもバブル崩壊以降業績が悪化し、倒産または救済合併された企業である。社名が変わらず今も頑張っている会社もあれば、姿を消した企業もある。経営悪化が即、業界からの退出というわけではないが、信用、商材の調達、人材流出など、一度躓くとなかなか、勢いを取り戻せないようだ。一方、厳しい環境下でも再建を果たし、人材採用を始めている会社もある。先に紹介した企業もその1社だろう。最近では日航が会社更生法申請後わずか2年で上場を果たし、最高益を更新したことで話題を集めた。就職先としてこうした企業はいかに評価すべきだろうか。

学生という立場で企業の将来性を見極めることは非常に難しいかもしれない。しかし、じっくりと腰を落ち着けて企業研究していけば答えは見つかると思う。なぜ、経営不振に陥ったのか、その後、再建できた強みは何なのか。 今回、経営不振企業について書いたが、必要なことはどんな場合でも企業の情報をしっかり掴むことだ。最近では合同会社説明会はもちろん、個別の会社説明会もショー化してしまい、派手に演出する企業に目を奪われてじっくり企業情報を聞くことができないように思われる。企業は見た目ではない。本当の実力をいかに見極めるかが大事だろう。


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