いい会社 悪い会社

ある企業でのグループディスカッションのこと。就職活動はどうあるべきかというテーマだったが、いわゆるブラック企業に就職しないための話になった。残業代が払われない、ノルマがきつい、などいくつかの基準が出た。ところが一人の女子学生がスックと立ち上がり、「そういう基準は意味がないと思います」といった。さらに続けて「企業が存続しているなら、それはいい会社です。悪い会社ならお客様から見放されてつぶれるはずです」。会場の雰囲気が一変した。

さて、就活生にとっていい会社とはどんな会社だろう? 世は何でもランキング。人気企業ランキングもあれば、ブラック企業ランキングというものもある。ランキングとは世間の人気投票のようなもので、自分自身の価値観ではない。就職とは自分が行うもの、自分にとっていい会社を探さなければ何の意味もない。他人はアナタのために働いてくれるわけでないから。就活で他人の意見を聞くことは必要で、友人や、キャリアセンターの先生や、両親の意見を聞いて就職先を決めることは大事なこと。しかし、最後に決めるのはアナタであることを忘れないで欲しい。

企業規模、ネームバリュー、待遇、色んな基準があると思う。私が学生の皆さんから質問された時、真っ先に挙げる「いい会社」選びのポイントを紹介しよう。 それは、「プロになれる会社」。若い時は仕事に打ち込める最大のチャンス。仕事に打ち込む中で、スキルも身についてくるし、社会人としての深みも増してくる。会社というのは若い人にとっては自分を成長させるための孵化器のようなものだと思う。

20代のうちは仕事に打ち込める環境のある会社を選ぶべきだ。ただ自己満足で仕事に打ち込むべしといっているのではない。能力、スキルを充分高められるかがポイント。私が懇意にさせていただいているある経営者が会社説明会の中で言った言葉が印象的だった。「途中でやめても構わない。しかし力をつけてからにしてほしい。他社を受験したときに、あの会社はこんな程度の人材を雇っていたのか、と思われたくないからだ」と。

その道のプロになれる会社。どこにいっても通用するスキルと力を身につけさせてくれる会社。そんな会社こそが学生の皆さんにとっての「いい会社」だと思う。もし能力が上がってきたのにそれ相応の待遇をしてくれないなら、見切りをつけ、転職すればいい。いまや大転職時代。自分をさらに飛躍させる為にも、新たな職場を探せばいい。そのためにも若いうちにしっかりとした実力をつけることをお薦めする。


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